昨日は、リクルート出身の東京都内初の民間校長、藤原先生に声をかけていただいて、杉並区立和田中学校に行ってまいりました。昨年も行ったりしているので、3回目くらいになります。昨日は学校説明会ということで、乙武さんと藤原先生のセッションを5時限目の授業として全校生徒が体育館に集まって行い、そこに来年度の入学を検討している小学校6年生やその保護者の方々も参加できるという形式をとられていました。

和田中3 乙武さんは先日、とある教育系雑誌の連載でニートについて書かれたのですが、本日もそのようなキャリアというものに対する話についてざっくばらんに1時間、藤原先生の進行の下に話をしていました。そこが、乙武さんは「どんな仕事を将来したいですか?」ではなく、「どんな大人になりたいですか?」という問いを考えるほうが必要なのではないか、というのを自分の体験まじりに訴えていました。仕事というのは選択肢の中から選ぶことが多いものです。自分が知っている職業の選択肢の中から選ぶのはもともと、選択の範囲が狭められていると言えます。そうではなく、「自分がどのように大人になったら、社会とかかわりを持ってゆこうとするのか」考え、その上でそれを達成するために有効な職業というのを探してみる、というプロセスは確かに有効だと思います。既存の自分の知りうる選択肢の中に自分のやりたい職業がなければ、それで働けなくなってしまったり、やりたい勉強などもなければ学校にもいかない、というような未熟な知識、経験、技術の上で自分の可能性を限定してしまっていると思わされます。

その意味では、和田中の基礎的な教科学習もすばらしく、英語などの強化コースを作って大学教授やネイティヴの講師を招くと共に、よのなか科で社会に学んでいることを生かす能力をつけてゆく、というのは本当にすばらしいと思わされます。自分も中高生だったときに、こういう学校がほしかったと思わされました。高校はかなり好き勝手やらせていただきましたが(^^;

和田中2また和田中の名物は校長室です。校長室に挨拶ひとつで入ることができ、マンガなどがおかれています。横の色紙はドラゴン桜の著者からのサインです。笑 自分も高校時代はよく校長先生にコーヒーを入れてもらっていましたが、そういうコミュニケーションは本当に重要だと思います。藤原先生もすぐに顔色を見て生徒たちの変化を感じ取ったりされるそうです。また校長室と並び名物なのは、図書室です。ちょっと写真はとってこなかったんですが、いつも司書さんがいて生徒たちは本を読みふけっているそうです。

和田中1給食も絶品でした。ちゃっかり私も給食を頂いたのですが、確かにおいしい。聞いてみると、東京都から表彰を受けるほどの給食ということで、うらやましい限りです。自分は中学からは私立だったので給食制度ではありませんでした。小学校のころは、カルピスゼリーが大好きで、放送室のとなりにある給食室にいつもあまってないか、おばちゃんに聞きに行っていたのを思い出します。あと夏は牛乳が温まってしまうので、冷たい冷えているのに交換してもらっていました。こう思うとわがままでしたね。。

さて、今日の総括で学校経営というものは何か、というのに藤原先生が大変印象に残る言葉を語っていました。藤原先生はリクルートでも第一線で働き、ポケモンカードなどで一世を風靡したメディアファクトリーという会社の創業者でもあり、リクルート初の非常勤役職を作って杉並区の教育委員会の参事をやっていらっしゃる方でした。こう思うと、やはりビジネスマン時代の経験が役立つのではないか、と多くの方に聞かれるそうなのですが、自分は学校を会社と同じように経営しようとかとはまったく意識していないということでした。そうではなく、自分が父親としてどこの学校よりもここに子供を通わせたいと思えるような環境を作ること、それが学校経営であると。みんな仕事、他人事だと思うから中途半端なことになる、自分本人のことだと考えて行えばすばらしいことができる、というのは大変考えさせられました。

学校経営とは父親としての経営である。教育から福祉までをアウトソーシングするわが国の一般家庭において、その受け皿となる組織を経営する立場の人間は、基礎としてこのような意識を持つことは大変重要なのだな、と学びました。