事業改善の第一歩は、自らの事業がどのようなコストをはらんで、どのような結果を生み出しているのか、ということを「把握」することであるのはいうまでもありません。

一般企業における改善の基礎も、原価計算などの体系化抜きには語れないですし、単に財務諸表のような取り決めの資料だけでは効率的な経営などはできません。管理会計などの細かい企業内で活用する情報があるからこそ効率化のポイントが明確化になり、具体的対応策を考えることができるわけです。


TMOがうまくいかない。わがままな地元商店街や、リスクを負いたくない行政との狭間で商工会議所や三セクTMOの担当者の多くが泣いています。このままでは、TMO自体が相次いで解消されてゆくのも近い将来予想される事態になっています。

そんなタウンマネジメント(若しくはエリアマネジメント)においても同様に、事業評価を自ら実施してゆくことは改善行う上で必要不可欠と言えます。ただ国内では、事業の評価基準などが統一的に役所クラスでも作られておらず、ガイドラインのないため、多くのTMOなどでも三せく会社の場合には一般的な財務諸表などは作られていても、企業会計的な部分は全くといっていいほど弱い状況といえます。

米国ニューヨーク市中心部をマネジメントする、タイムズスクエアアライアンスなどでは、大企業同様に四半期に一回のペースでレポートを出しています。QualityIndicatorReport(業績指標レポート)という内容です。BIDとなっている同地区では、地元地権者などから過半数を超える支持を得なければ組織が解消されることもあり、熱心に自分たちの組織が地元に与えるパフォーマンスについて厳しく管理しています。

これらはタイムズスクエアだけでなく、小、中規模都市のマネジメント会社など(手元にもらったのは、westfieldやalbanyなど)でも一般的に行われていました。

投資対効果などの面で、自分たちのマネジメントが以下に優れているかを示すことによって、マネジャーたちの業績と競争に結びつくわけです。事業による実績を作り上げる優秀なマネジャーは評価され、そうでないものは退場させられてゆくわけです。当然、税金同様の共同負担金(assessment)を支払う人々は、行政に一回集められた税金以上に明確に、費用対効果を求めることができるので、業績評価に対しては大変キツい目を向けるようです。

ただタイムズスクエアなどでは、マネジメント開始後の地価上昇などが著しかったため、大変地元地権者の満足度も高いということで、短期的なパフォーマンスばかりを求められるわけでもないようでした。

このように、日米の間のタウンマネジメントの間には、大企業とまちの商店との間にあるくらいの、大きな管理の差があるといって間違えないでしょう。今後、行政サイドでも事業評価基準などの策定はなされるかもしれませんが、企業会計同様にタウンマネジメント独自の会計管理手法(TownManagementAccounting)などの必要性も指摘されるようになるのではないか、と思います。私個人としても、今後のタウンマネジメント事業の改善案として提案をしてゆきたいと思っています。

■ニューヨーク市「タイムズスクエアアライアンス」のアニュアルレポート