現在中国食品の問題が大変な問題を巻き起こしていますが、今回の取扱いを行っている団体として「生協」が取り上げられています。あまり報道機関は「生協」というのは全国に単一グループしかないような感じを出しているところに、理解不足があるのではないか、と思わされます。

生活協同組合とは、株式会社と同じで一つの法人形態の一つです。つまりは、一定条件を満たせば生協は発足させることができるため、マネジメント体制などは個別の生協によって異なります。しかし日本生活協同組合連合会(COOP)があるではないか、と言われるのですが、確かに業界団体として存在し、オリジナルブランド商品の供給などを同団体は行っています。今回問題商品も、同団体が日生協のオリジナル商品(COOPブランド)として供給していたようです。ただし、全ての生協が同じ商品を取り扱っているわけではないのです。

今回の問題商品を取扱いを特に行っていたのは、主として日生協系の生協グルーブと言われる生協です。例えば首都圏であればコープネット事業連合があり、コープとうきょうなどが加入している大手生協グループです。

しかし首都圏であれば、その他にもパルシステムグループや生活クラブ生協グループなど異なる生協グループが存在しており、取扱い商品も大きく異なります。パルシステムグループは産直商品取扱いをウリにしており、生活クラブも運動的な側面の強い商品に対するマインドが高い生協です。各生協の今回の対応を見てみたいと思います。

今回の問題商品を取り扱っていたコープネットのwebでも当然ながらお知らせが掲出されていました。

■[コープネット]組合員・消費者の皆さまへ CO・OP手作り餃子等に関するお詫びとお知らせ

一方で、パルシステムグループを見てみると、30日から31日にかけて3回にわたってプレスリリースを出しています。
まず、パルシステムでは今回のCOOP問題商品の取扱いがない、またその他回収が始まっている中国製商品も取扱いがないことを説明しています。さらにパルで取り扱っている冷凍食品の多くが国内で作られ、一部が海外であり、それがどこかということも説明しています。

■[パルシステム]「CO・OP手作り餃子」に関連した報道につきまして
■[パルシステム]「CO・OP手作り餃子」に関連した報道につきまして(第2報)
■[パルシステム]「CO・OP手作り餃子」に関連した報道につきまして(第3報)

生活クラブ生協を見ると、さらにCOOP商品の取扱いはないことを説明しています。つまり同じ生協であってもCOOP商品自体を取り扱っていない生協が存在しているのです(その他生協でも様々な商品品質に対する理解などが日生協の基準や理念と、各生協とでは合わない場合には供給を受けないことは多々あります)

■[生活クラブ]中国製餃子の食中毒事件につきまして(第1報)
■[生活クラブ]中国製餃子の中毒事件報道につきまして(第2報)

このように見ていくと、同じ生協でも全く体制や経営方針に違いがあるのが分かります。まずプレスリリースが、問題商品を取り扱っている生協グループであるコープネットが一番少なく、その他の異なる生協グループの方が多く説明を出しています。さらに、取扱商品に関しての説明がパルシステム、生活クラブ共にありますが、コープネットでは問題商品以外についてはふれられていません。このように品質に対する意識が、生協間でも異なるのです。

しかし現在の報道では「生協」というのが全てが取り扱っていたとは言わないけれども、それに近い分類をしていないような状況です。
これは以前、食品偽装問題にも同様の問題があったと記憶しています。牛肉の国内産、海外産の混入などの問題の際にも、生協の問題は生協全てに共通しているように語られました。

最近は、COOPやパルシステムみたいなブランドでCM等を打って認知を高める広報戦略が色々と展開されてきました。しかし世の中的にはまだ生協という単一ブランドから抜け出られていないため、報道でも誤解を生むような状況が波及してしまっているように感じます。

このあたりの報道対応のあり方を日生協なども真剣に考える必要があると個人的には思います。一気に全体の生協不信に繋がらないよう、しっかりと取り扱っている生協とそうではない生協を区分して報道してもらえるように考えることが重要だと思います。