今日はインターネット小売大手の最近の動向です。
インターネット小売大手と言えば、日本ではamazon.co.jpと楽天かと思います。ビジネスモデルは違いますが、前者のamazonは独自に商品を抱えて配送販売することを基本とおきながら、マーケットプレイスという他社も同様にamazon.co.jp内で販売できるシステムを提供しています。
楽天は、知られているように仮想商店街と題されるように、楽天のシステムを活用して多くの商店がインターネット上で販売活動を行っています。その他金融等々コングロマリット化しているので、一概に仮想商店街という呼び方は正しくないと思いますが、オンライン小売りシステム提供会社といったところです。

この2社が最近、これまでのようにオンラインでの商取引システムだけを提供するのではなく、実際の物流サービスそのものを提供することを始めました。つまり実際に自分たちのシステムに出店しているお店の方々の在庫を預かり、注文があれば配送まで行う物流代行業を始めたのです。

既に米国amazonなどではもう2年くらい前から始まっていたサービスなのですが、日本ではようやくこの4月、5月amazonジャパンと楽天が同様のサービスを開始した、ということで注目を集めています。

特にamazonの場合には、米国等の開業当初はインターネット販売の利点を生かしてジャストインタイムで注文あってから発注をかけて配送するビジネスモデルにチャレンジして痛い目に遭ったことがあります。その後、しっかりと自社配送センターを展開してしっかりと在庫を抱えて、注文あり次第すぐに配送するスタイルを構築して、事業が軌道に乗ったという話は有名なところです。特に最近では、amazonはデータセンターなどのオンラインシステムでも非常に優れていると評価される一方で、物流部門の優秀なシステムも注目されてきました。そのリソースを活用して、出店企業から品物を預かり配送までを提供することを始めたのです。

先日発表された、平成19年度商業統計速報で示されているように日本では無店舗販売業態、特に通信・カタログ販売は着々と伸びてきています。平成3年と比較しても、店頭販売の成長はほぼ横ばいに対して、通信・カタログ販売は80%以上伸びてきています。全体の小売市場に占める無店舗販売の比率も20%程度ですが、そのうち訪問販売は減少しているものの、インターネットなどでの通信・カタログ販売形態などが伸びてきているわけです。今後小売業においていかに重要であるかを示しているかと思います。

その中で重要になるのは、「取引システム」と「決済システム」と「配送システム」の3つであると言えます。これらのシステムにおいて大手各社はこの3つのキーポイントを押さえるべく様々な取り組みを既に始めて来ているのです。特に合理化のポイントとも言える配送システムを大手が握ることで、より規模・範囲の経済性が高まり、一般にインターネットに店舗を開設するよりはamazonや楽天などを活用するのと同じように、商品も預けて配送してもらうほうが良い、という流れも出て来るかもしれません。

今後のインターネット小売の動向において、今回のサービスがどのように発展するか、は注目されるところです。

<参考WEB>
■フルフィルメント(amazon.co.jp)
■楽天物流サービス