先月、このブログでもイオングルーブがこれまでの積極的なM&Aによる急速拡大戦略を転換し、収益重視型に移行するということを取り上げました。

■イオンの急速成長から収益力強化への戦略転換 (No.673)

さらにイオングループは今月7日に、中核を成すGMS事業のリストラを決断し、09年以降で100店舗を閉鎖するという三カ年計画を発表しました。現在のイオングループの事業構造は、以下のIR資料(07.2月期)に掲載されているように、総合小売り(GMS)事業がその多くを占めています。GMS事業の営業収益比率の営業利益率は2.2%程度と非常に低い水準となっており、さらに今期(08.02月期)はさらに悪化しています。

■事業セグメント別構成比

今回、このように低収益モデルとなっているGMS事業を大幅なリストラを行い、閉鎖もしくは食料スーパーへの転換を進めていくということです。日経新聞によると、現在国内既存店は437店舗が対象とのことで、22%以上が閉鎖もしくは食料スーパーへの転換されるということになります。

まだ具体的な候補店舗などは掲載されていませんが、都市によってはイオンが撤退することによって地元経済に少なからず影響があるでしょう。

以前から大型スーパーは収益悪化によって店舗を撤退する、ということで各地域で批判を受けてきましたが、これがある意味では再度その通りになったと言えます。これまでもダイエー、マイカルなど大型店が経営不振に至ると、大幅なリストラを発表して全国的な影響を与えました。が、さらにイオンの場合にはより大型の郊外店を集中的に展開してきたことからも、これまでとは異なる影響を与えることになるのでしょう。

恐らくは駅前等の店舗は食料スーパーなどに業態を簡素化することは考えられます。
しかし郊外大型店店舗は、その後代わりのテナントが入ることもなかなか難しいでしょうから、撤退後の店舗土地建物の利用も気になるところです。さらにイオン出店を契機に周辺に集積してきた大型家電店などのロードサイド型業態にもどのような影響を与えるかも気になるところです。

米国のウォルマートなども郊外店舗閉鎖後の郊外店が放置され、非常に社会不安の原因になるような問題となっています。日本でもこれまでの拡大一辺倒だった郊外エリアが大きな転換期を迎えることとなりそうです。

<参考資料>
■イオン GMS100店閉鎖 売却や食品スーパーに転換
■イオン、総合スーパー100店を閉鎖や転換・3カ年計画
■イオン:不採算100店運営見直しへ 09年から3年間で
■イオン、総合スーパー100店舗リストラへ