目に見えるコトは絶大な価値を持つ。逆に見えないものは、誰にも分からない。

東大の宮田先生が、日経ビジネスの連載で先日「数値経営力学」という話を取り上げていました。

日経ビジネス:数値経営力学で経営を「見える化」する 優れた経営のヒントがここにある

「見える化」を経営分野で徹底することによって、課題並びに対応策、さらに対応策の効果まで可能な限り明確化して、経営に活かしていくことです。特に最近はパソコンやクラウドサービスが高度に進化しているので、昔であれば手作業であった処理や情報収集を物理的に離れていても気にせずできるようになり、それらを統合的に数式で処理するのも一瞬で完了します。

まちづくりの分野でも、取組みを「見える化」することは非常に重要です。
特に自分が取組んでいるような、マネジメントシステムは日常的には全く目に見えません。再開発などであれば物理的なものを扱っているのでよいのですが、マネジメントシステムは財務的に数百万円の効果が毎年生まれる環境を作っても、これは各企業などのバランスシート等に分散して影響しているので全体像は全く見えません。だからこそ、効果を見えるようにすることは非常に重要です。

そのため細かな事業成果は毎月の月報形式でエクセルで自動計算され、定例会議で報告され、さらに年次報告書の方式で関係者に広く配布するなどし、事業の成果を見ることができるようにしています。

さらにゴミ処理に関するPJでは、その廃棄量などを細かく計算した情報を蓄積して、業績との連動を意識したり、その内容物の割合によって生ゴミの比率が高い等が分かります。そうすると、その生ゴミの減量策も具体化し、その減量したゴミ処理にかかっていた経費と新たにコンポスト化によって得られる収入との比較もできるようになります。つまり、「やること」だけでなく、「数字として捉えていくこと」が並行して行われないと、マネジメント事業は目に見えないもののまま、何をしているのか見失う可能性さえあると思っています。

そのため、見えるシステム化は常に課題と意識しています。熊本から始まっているエリア・ファシリティマネジメントの取組みについても、そろそろ管理システムのバージョンアップをするべく取組んでいます。また、徳島で行っている商店街向けのクラウドPOSシステムは業務管理だけでなく顧客管理、新規販路開拓などをまちづくり会社が統轄・サポートできる仕組みとして各店舗横断で面的な見える化を図るものです。その他、アル意味で自分が並行している取組み全てに、数値経営力は不可欠な要素と言えます。

以前、「その数学が戦略を決める」という本をこのブログでご紹介したこともありましたが、この本は「絶対計算」というあらゆる事象を数字に落とし込んで、計算式で予測するということに挑戦する動きについて書かれています。

ここまで徹底することはできないかもしれませんが、各地域の差異を認めると共に、事業システムについては共通性に目を向けて数値化をしていくことも重要です。地域において文化歴史などの背景の定性的な情報の違いに目を取られて、共通性について無視するべきではないと私は思っています。



数値経営力という考え方はまちづくりにおいても重要であると共に、具体的な対応を私自身も改めて進めたいと思いました。


木下斉・著[まちづくりの「経営力」養成講座] 全国書店にて発売中