不動産のファシリティマネジメントに手を入れて、地域から流出する資金を抑えると共に、それによって生産性改善で経営の筋力性を高め、さらにその資金を再投資することで成長につなげていく、というのが中心市街地における重要なアプローチです。その再投資先をこれまではソフト事業中心で組み立ててきましたが、いよいよ遊休不動産床にメスを入れることとしました。今年度の挑戦事業はコレですが、少し備忘録的に書きます。

■中心市街地の不動産活用の強み
中心市街地の強みは、社会資本整備が終わっていて、なおかつ既に償却がすんだ資産を保有している点です。逆にここが既にいびつになりつつある地方都市は、早急に対応策を組まないと歯止めがきかなくなるわけです。

しかしこの中心市街地における不動産は、フル稼働しているケースは少なく、むしろ遊休不動産が沢山あります。つまり保有しているが利用していない床です。これを如何に活用できるスキームをつくるかに特化すべきです。しかも遊休不動産かつ償却が終わっていれば、立地が良くても床の単価を引き下げることもできるし、さらには歩合家賃とかも柔軟に設計できます。ただし老朽化の問題がありますが、これも新しければいいという価値観にとらわれすぎていて、むしろ自由に手が入れられる空間を活用するという今の視点と合致すれば、十分に生きる可能性があります。

■事業のポジショニング
事業的なポジショニングとしては、本気不動産ビジネスは1-2Fとかで行っているところで基礎収益を確保するところとは異なります。かといって、無料で床を貸すわけでもない。この間となる、遊休不動産を1-2Fのように一企業にまるごと貸すのではない、複合利用のスペースで共同オフィスやラボ、共有店舗を集積していくスタイルのが基本です。つまり既存のリーシング先はこれまでの1-2Fとは異なる、新たなユーザー層です。現在は自宅や郊外などにオフィスを設けている企業とかになるでしょう。個の時代が到来し、仕事のスタイルも多様化している割に、業務空間もこれまでのオフィスビジネスにとらわれすぎてしまっているので、ここを変えることも重要です。

つまり不動産のメイン事業の変化というよりは、メイン事業とは別の床をメインとは異なる方法で利活用するということです。

■課題箇条書き
少しここ二日間で感じたところです。

・目抜き通り添いの家賃設定が高く、1-2Fを貸すだけでかなりの収益が確保できる。たがら3F以上の利活用をあまり工夫しない。
・本業が別にあることで、不動産収入に関して最大化しようという意識がない。
・何か工夫しようと思うが、活用プランがでないので、そのままになる。
・そもそも面倒ということで空きスペースの利活用を考えていない。
・家賃単価さげるのに抵抗が強く、過去の条件のままいきたい。変化させたくない。
・家賃単価さげると連鎖的に周辺も連動していくので下げられない。
・収益還元ではなく、相場型家賃が中心(=商売と合わなくなっている)
・老朽化でそのままは貸せず、投資しないといけないが、確実な収入と結びつくイメージにならず、そのままになる。
・銀行の意向で家賃が下げられず、入居者はチェーンばかり探して、結局借り手がこない。
・銀行が同じテナントを地域内の管理物件で入れ替えしたりし、混乱が発生する。

■今後の打開策
不動産オーナーの同意さえあれば、かなりアディショナルの収益を確保して回していくことはそこまで難しくないと、同行してもらっていた広瀬さん(トーンアンドマター)とも話していました。これから全国で実施するスキームをさらに詰めつつ、具体的なケースを積み上げていきます。

都内では大崎、あとは長崎、熊本あたりから既に検討スタートさせて、あとは札幌などアライアンスエリアで同時進行させていきます。

それにしても、実に可能性の大きい領域だと感じます。