先月、国交省と経産省主催のセミナーで公民連携事業機構のご紹介をしに岐阜に久々にお邪魔しました。

その時に10年来の友人であるG-Netの秋元くんと飲んだのです。ちょうど先月、早稲田学報という早稲田大学OB雑誌に彼とネット対談しまして、その簡単な打ち上げ兼ねた飲み会でした。

さて、その時の話を秋元君が以下のブログにまとめてくれました

【秋元君ブログ】ダメな事業のほとんどは、やってる奴がダメなだけ。

私が係る地域再生・都市再生の分野にしても、秋元くんが力をいれている中小企業支援とかにしても、基本的に「うまくいっていない」分野なんですよね。とてつもなく失敗しまくっています。

というか、1%も成功していない。取組みの数からしたら、短期的に成果を挙げるものだけ抽出しても0.01%くらいでしょう。1万件あって1つあるか否かというレベルだと思います。

あまりに失敗するので、どうにか失敗しないように、ということで資金面でも様々な支援制度があり、さらに専門家派遣とかも山のようにでています。前者を「フィナンシャルサポート」、後者を「テクニカルサポート」と呼びます。世に言う支援というのは大きく分けてこの二つになります。ま、そんな支援制度まとめるだけで、タウンページ何冊分にもわたるような資料になるくらいです。

それでも、不思議なもので、単純に支援受けたから必ず成功するわけでも、支援受けてないから必ずしも失敗するわけではないのです。


◯支援制度と成否の因果関係はあるのか。

じゃあ事業自体の成功と失敗って、支援によってどう分かれるのだろう、と考えるわけです。
金銭的な支援制度を活用するしない、技術的な支援制度を活用するしない、という形で分けてみると、A-Dまでの組み合わせがあります。ここからは特段の調査結果とかではないですが、地域活性化分野でいう時の整理をしたいと思います。
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1. Aの場合です。
金銭的な支援制度を受けながら、専門家などの支援制度を活用する場合ですね。
この場合は、規模の大小はあるのですが、外注型になってしまいがちで、当事者たちが何かをやるというよりは、外部専門家、いわゆるコンサルにハード系だと様々な計画を作ってもらったり、ソフト系だと当日のロジ周りまでやってもらったりすることが多かったりします。また、規模が大きくなればなるほどに、外部専門家とかの報酬も高くなっていく傾向が強く、補助金や交付金をたらふく使おうとしてしまう場合が見られます。

成功と失敗を分けるのは、外部専門家に予算ごと丸投げしないか、であると思っています。
外部専門家が結構無茶した大規模な計画立てたり、不必要なイベントを開催したりとひとり歩きしていくと、結果的に一瞬成功してもハード系だと運営で破綻したり、イベントもどんどん過大になって費用対効果がなくなっていくということがあります。


2. Bの場合は、単に補助金活用している場合ですね。
ある意味で地域活性化関係では1度は経験する補助金事業。使ってみたりして大きく分かれるのは、中毒症にかかる場合と、もう嫌になって使わない場合に分かれていきます。

ここで成功と失敗を分けるのは、必要ではない補助金まで使ってしまうか、使わないか、というあたりだと思っています。
不必要な補助金まで使いはじめると、補助金もらえる事業しかやらない、考えられない状況になり、結果として一瞬成功した用に見えて、予算が尽きると失敗してしまうことが多いです。


3. Cの場合は、専門家のサポートだけ受ける場合です。必要な資金は投資や融資や寄付とかで集めてきます。
これは結構支援される側、する側双方にとって辛いメニューなんですよね。外部専門家としては、事業に必要な工程を計画たてたり、それに必要な要素を整理していったりするわけですが、当事者はあくまでクライアントです。互いの信頼関係がないと、動かなかったりするわけです。さらに資金に関する投融資とかについては、専門家と共に金融機関とかに回ったりしたりしますから、それなりにストレスはかかります。補助金みたいに書類揃っていればOKとかではなく、あくまで事業性審査になりますので。

ここで成功と失敗を分けるのは、専門家とクライアントがどこまでやり切るか、というあたりです。
途中で面倒になったり、楽をしたいと思ってしまうとうまくいきません。しかしながら、しっかりとそこをやり切ると、ちゃんとした事業になり、継続性も担保されることが多いです。


4. Dの場合は、ってかこれが普通の事業のススメ方なんですよね。
ま、これは当然ながら事業を自分で作っていくというスタイルで、最初はそもそもここからスタートすべきなんですよね。全ての事業は。それが壁にぶつかった時に初めて専門家からアドバイスもらう。だからこそ、「そうなのか!」と気づくわけです。自分で壁にぶつからないと、「いや、そうはいっても難しい」とか言い訳をし始める人が多くて、やらないと潰れると思っていれば、ひとまず自分で試してみることが必要なわけです。それで資金調達して成功を収めていくことが基本ですよね。
それでもダメな場合には、やり方を本来は変えないといけないです。ダメな事業だからといって社会性を謳って補助金もらって誤魔化そうとかしても、結局は続かないと思っています。事業の構造を直すことが最優先です。

成功と失敗を分けるのは、自分でまずはやってみるか否か、ですよね。当たり前だけど、意外とこれ出来ない人多いんですよね。やっぱり最初から色々と保険かけようとして成功事例のパクリをして、さらに専門家に投げて、さらに補助金までもらってみたりして、結局自分達で考えてなかったりする。Dをやっていない人は結局薄いですね。


◯支援が生み出す「相互依存」が問題。

このいずれにしても、支援が行われる際には金銭にしても人材にしても、その支援に依存してしまうと、支援がなくなった途端にダメになるんですよね。支援自体は支援される方にとっても依存になるし、支援する側にとっても依存することもあります。

つまり、支援される側にとっては支援を受けて経営が楽になるし、支援する側にとってはその支援自体がビジネスになります。極端な話をすれば、予算がつき続ける限り、支援される側も、支援する専門家にとっても美味しいわけです。この相互依存関係こそが、制度支援の問題点であると思うわけです。

また一定期間で支援を打ち切るという場合にも、支援される側はその支援がなくなって破綻することはありますが、支援を専業にしている専門家が悪質な場合には、別の支援者を見つけてビジネスを開始します。つまり支援先の使い捨て、ということも起こります。

このようなインセンティブを打開するには、支援自体を一定期間に抑えて支援される側に危機感を常に持たせつつ、そもそも支援する側が制度支援によって支援すること自体をメインビジネスにしないことも極めて大切であると思っています。


◯専門家は、本業は自らリスクを負って事業に取り組んでいる人、である。

まず専門家は、「先駆的にその事業で実績を上げている人」であることか前提です。
そもそも支援だけをやっている人、かつて事業やっていたけど今はやっておらず支援を専門としている人、やはりそれは無理があると思っています。かくいう私も自分が役員とか務めていないまち会社とかの立ち上げ支援とかもやりますが、制度支援ではなく、普通に運営リスクを負って成果報酬契約で進めたりを中心としています。

やはり事業って生物で、数年前に成功した事例をそのまま流布しててもダメです。真剣で勝負をしていないと、常に竹刀で戦っているみたいな形だと、研ぎ澄まされた緊張感がなくなり、支援している内容も陳腐化していきます。常に支援なんてものはやらなくてもいいようなスタイルでいる人こそ、本当に必要な支援ができると思っています。


◯支援される側は、挑戦せざるをえない人、である。

支援される側も常に支援が打ち切られることを前提とし、無理な場合は徹底するタイミングを事前決めるのが得策です。
やはり人間って弱い生き物だからこそ支援をもらうと支援をもらい続けたくなったり、支援が打ち切られる前に打ち切られた段階で運営が成り立つ形にもっていくことをスケジュールに入れて、無理な場合はそこで断念することも決めるのが基本です。

とはいえ、「断念はできない」という不退転の状況である人の方がいるのも事実。だからこそ、後戻りできない人、挑戦せざるを得ない人の方が成功確率が高いのは事実です。
何よりこういう人たちからは「言い訳」が出ません。やらなくてはならないからです。「~だからできない」といったようなことを言っている段階で、特段支援があってもなくても大してやる必要性がなかったりします。やはりやらなくてはならない、やり続けなくてはならない、ということがとても大切です。

言い訳をしているうちは成長がないのです。


◯人選が9割。

こういう意味で、制度やシステムを運用するのが人間であるかぎり、人選が9割だと思っています。
人材育成というのはそんなに計画的にできるのではなく、事業支援とかであればまだしも、基礎的な能力開発から全部をやっていくということやっていたら、大抵の取り組みは成果を収めるする前に破綻してしまいます。

人選というのは前述のように、支援自体を行う双方に要件があり、それを満たすことが前提。さらに専門家にはどれだけのレベルの知識と経験があるのかということ、支援される側には切迫した状況であるのかということ、というバックグラウンドが求められます。そのあたりはある意味でシステムとしてフィルタリングできるところと思います。

ダメな事業というのは、大抵は主体自体もそこまで追い詰められておらずいい加減であることが多く、それに協力する取り巻きも支援すること自体に金銭的、精神的依存をしている場合が多いのではないでしょうか。

そういう意味で「ダメな事業はやっている奴がダメなだけ」というのは、考えさせれれる内容だと思うのです。
 
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