自民議連が発足していた空き家対策ですが、議員立法で対策法が提出されるようです。

◯【朝日新聞】空き家自主撤去で固定資産税減免 自民議連が対策法案
http://www.asahi.com/articles/TKY201310220429.html

要約をすれば、以下の3点が書かれています。

・空き家を自主撤去した場合に土地の固定資産税を軽減する
・市町村に空き家への立ち入り調査権を与える
・市町村は所有者に除去や修繕などを命令できる

これらの問題意識に関しては、2013/6/11のBSプライムニュースにおいて「老朽化する空き家にどう対処するか」という討論が議連会長が出演して語っています。以下にログが詳細に残っているので、ぜひ。これで今回の法案での対応すべきだと考えてるポイントはわかりますね。

http://www.bsfuji.tv/primenews/text/txt130611.html

今は更地並課税より空き家を放置している方が固定資産税が減免されるという条件が基本なんで、皆はどんなに朽ちようともそのままという話がありました。商店街の空き店舗問題も同じですね。使わない、使う気もなくてもそのままにしておくのがベストということでした。既に地方都市では、人口減少産業衰退によって空間需要は減少してきており、過去作った建築物を全てそのままにしておくと大変な荒んだ状況になっていきます。

0874a127.jpg
 


写真・地方都市の中心市街地に点在する廃墟

そこを是正していくということでありますが、ま、実際には「解体費」というのが、どれだけ新たな固定資産税減免措置による金額で賄うことができるかというあたりです。例えば1年間で解体費が出るレベルの固定資産税減免というのは難しいとなると、どの程度なのかというあたりで、「ま、面倒だしいいか」ということで放置されることもあるでしょう。そのあたりは経済インセンティブでせめるのであれば、ある程度調査権も出てくるのであれば、問題物件に関しては、一定上記のようなオーナーの維持モデルをベースに指摘して誘導していくことが必要でしょうが、行政コストがかかりますね。単純にオーナーに負担させて「修理しなさい、解体しなさい」という命令をするというのでは、財産権の問題に抵触しそうですからね。となれば、ある程度の中心部みたいな固定資産税評価額が高いエリアでこそ運用できそうですね。

となれば、

放置物件→更地にするか、本当に活用するか否か。

という議論は巻き起こりそうです。この点で、まち会社とかは更地誘導したら周辺物件にプラスになるような計画を組み立てる、利活用できる物件なら利用したほうが課税が安くすみますよ、という話で活用提案をするということができそうです。

自分が関わる地域のいくつかでも、リノベーションによる利活用と共に、そもそも必要容積がなくなっているので、一部はまち全体の減築としてある程度利用不可能な物件については更地にして緑地帯にしようみたいな取り組みも検討しているので、それには有効に機能してくれそうです。ただし、まだ利用できる物件が安易に全て更地になって変な再開発計画とか組み立てられたりしないようには危惧するところです。

どちらにしても、これまであったような中心部の物件オーナーを今のままで減免措置をづつけるみたいな話よりは良いと思います。

[参考]中心市街地の用地利活用を促進するためには減税は逆効果!? (No.978)
http://blog.revitalization.jp/?eid=810833

このように更地にして、例えば緑化して民間公園的に運用していけばさらに固定資産税減免みたいな「利活用」までを視野に入れた内容になっていけば、周辺の価値にもプラスに影響するでしょうから、そういうバリューアップまでをカバーできるような制度につながっていけばよいですね。


・兵庫県佐用町の更地を芝生を販売する会社の養生場所として活用した緑地化
 


-------------------------



毎週月曜配信「エリア・イノベーション・レビュー」のお申込みはこちら。