来週からひょんなキッカケから横浜市立大学の国際都市学系専門のプロジェクトマネジメントという講義を非常勤でやることになっています。

『まちづくりの「経営力」養成講座』でも指摘しているように、まちづくり事業自体のマネジメントの困難さは、仕事で関わるひとばかりではないことです。組織内のヒエラルキー構造で強制する力も弱いし、時には嫌になったら関わるのを辞める、ということもメンバーはできます。

このような状況の中で、マネジャーは、

(1)各メンバーに担当タスクを振り分け、スケジュールにもとづいて進捗をしっかり確認していき、それによってプロジェクトを成功に導こうとするアプローチ

(2)プロジェクトを推進していくメンバーの個々人のモチベーションを維持していくためのインセンティブとコミュニケーションを円滑にしてプロジェクトを成功に導くアプローチ

という2つを併せ持ちながらプロジェクトマネジメントをやらなくてはなりません。

本当は(1)を考えれば厳しくそれぞれの担当を全うしてもらうようなマネジメントを細かくしたくなりますが、(2)の点からすれば強制度が高まればモチベーションは低下することも往々にしてあります。マネジャーは予期しないことが増加すると不安になって(1)のマネジメントを強化しがちですが、これは逆効果で(2)が低下するからますますプロジェクトの進捗が遅れたり、ミスが多発したりします。

特にそのようなパワーバランスがいびつになるのは、プロジェクトを始めて初期ではなく、中盤から後半にかけてです。スケジュール守らなくてはならない、一定の品質も守らなくてはならないから(1)の方向性が強くなります。しかし、常にプロジェクトには予期しないことが沢山起きてきて、互いにボトルネックが入り組んで、全体の進捗度が全く上がらなくなったりします。この時にそもそものスケジュールやタスク分担とか気にしているとむちゃくちゃになっていきます。かといって、誰しもがルーズになったら、それはそれでむちゃくちゃになるわけで、この2つの軸のせめぎあいを抱えます。

ここで重要なのは、マネジャーの意思決定スピードだと思っています。

何か問題起こるのは当然のこととして、その時に軌道修正する方向性を円滑にするのは、問題が起きた時にどう軌道修正するか、さっさとマネジャーが意思決定できるかにあると思います。そのためには何が起きているのかすぐに分かるためには、(2)を意識してメンバーがすぐに様々な情報や意見を出してくれて、その上でその場で意思決定しトライする。それでダメだったら、次の打ち手をうつ、という繰り返しだと思っています。

最近ではネットが普及しているので、すぐにSkypeとかグループメッセンジャーとか利用してバリバリやりとりをリアルタイムに行って解決していく。これによってプロジェクトが個々の問題でスタックしたり、互いの悪影響を重ねて、最後に互いに関係が悪化しつつプロジェクトを進めていくような事態にならなかったりします。

何か問題が起きて一喜一憂を皆でしていたら意味ないので、バリバリさばして次に進む。その進み方をすぐに判断して、繰り返して軌道修正していくというのがプロジェクトマネジメントの基本だと思っています。(1)は個々人が自認して率先して進め、(2)に関しても刺激をし合える形ですね。

いいプロジェクトになる時は、こういう困難が生まれた時に即座に解決していくことの繰り返しができて、皆が高揚していく時だと思っています。

まちづくり事業のプロジェクトマネジメントにおいては、所属する組織が複数になり、しかも営利も非営利もあり、仕事でさえない活動で関わる人もいるので、その時に(2)のモチベーションとインセンティブのポイントをそれぞれに掴んで行うのが、企業対企業によるプロジェクトからは変数が少し多いところです。役所におけるモチベーションとインセンティブと、企業におけるそれと、活動として取り組む人たちのそれとは違いますので。

ただ地域を良くしよう、みたいな上位概念では合意できるので、マネジャーはプロジェクトの局面局面で全体合意を優先する時には上位概念で、個別の問題解決では属性別の下位概念で対応していく使い分けが必要になったりします。

またこのあたりは細かく解説していきたいと思います。


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