人口減少トレンドというマクロでの変化、また人々が年代によって営む生活にフィットした環境が大きく変化するライフスタイルという個々人での変化それぞれで、賃貸市場が大きく変化していくのは必然と言えます。

そんな中、リクルートすまい研究所のこのレポートが様々な人達に参考にされているので、ご紹介します。

■愛ある賃貸住宅を求めて NYC, London, Paris & TOKYO 賃貸住宅生活実態調査


この中でも第二部においては、日本、アメリカ、イギリス、フランスの賃貸住宅市場統計に関する整理はかなり体系的になされています。ポイントとしては、

・2008年時点で日本に住宅は5,759万戸あり、そのうち借家は2,190万戸である。そして2,190万戸の借家のうち人の住んでいない空家は413万戸あり、18.8%の空室率となっている。 他の国別にみると、アメリカの借家空室率は11%、イギリスの借家空室率は9%。
・民営借家の非木造は新しく建てられた
・民営借家は築年が浅くても滅失している割合が高い
・民営借家は居住面積水準を満たさないものが多い
・賃貸率は、国別イギリス 32% ~ フランス 4 3 % 。都市別には ロンドン4 5 % ~ パ リ 6 7%
・日本の賃貸居住者は他国と比べて圧倒的に「単独世帯」が多く、他国ではいずれのエリアベースでも5割を超えていないのに、 日本では全国ベースで57%と過半を超え、特に東京では68%と3分の2を超えている。

など、賃貸住宅に関連する統計がまとまって整理されています。各国で事情は異なるとはいえ先進国各国は一時期の繁栄の後の低成長である成熟期に入り、個々人が得られる将来の成長も小さくなっているし、さらにライフスタイルも個人によって、またライフステージによって変わってきたりと、共通的な要素もあります。日本においても今後は住み替えを前提として様々な賃貸住宅が出てくる、その胎動は既に始まっていますね。

先日紹介した青木さんのところなんかは、既存マンションのリノベーションプロセス、居住者へのコミュニティ形成によって従来にはない価値で満室になっている、というのも単身者向けだけではないファミリー層向け、シェア型居住など個々人の生き方に即した空間提供を意識していたりするわけです。


最後に、これらに関して不動産オーナーが担っている役割についても指摘しています。まちづくりと同じで、「主体性」というのは極めて大切で、不動産市場自体で見る見方もできますが、ミクロでは個々人の不動産オーナーのマネジメント次第でいかようにでも、住む人に提供できる価値は変わるんですよね。

「実際の物件管理の場面で、大家であるあなたが汗をかいてやれる仕事は、そう多くないだろう。しかし、あなたが建てたアパートやマンションの部屋で、毎日眠り目覚め、食事を摂り、勉強したり仕事に出かけたり、時に友と語らい時に恋をして社会人として成長していく若者のことを、自分の物件にふさわしいとあなたが選んだ若者の人格を慈しみ、その暮らしを思いやることはできる。いや、それはあなたにしかできない仕事だ。」

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