以前から結構ネットでは話題になっていましたが、ピエリ守山のどエラい状況です。



◯市場は縮小
まず、日本の小売市場は1997年の約148兆円(経済産業省「商業統計表」)をピークにして下げトレンドとなり、2012年は約138兆円(商業動態統計調査)となっています。15年間で10兆円程度の市場が縮小したことになります。ま、全国合計なので、地域によっては縮小幅はもっと大きいと考えられます。

◯12年で大型店は約8000件増加。
さて、大規模店舗を開業する場合には、2000年以降は大規模店舗立地法(通称、大店立地法)にもとづいて届け申請がなされるようになっており、どれだけ毎年申請があったか経済産業省が管理しています。その前は1974年から大規模店舗法(通称、大店法)試行以降は大店法下において規制されつつ、2000年以降は大店立地法という形で大店法よりは規制緩和されたものの、出店申請と周辺環境への配慮要件は必要な状況になっています。


さて、それらの統計データをもとにみていくと、以下の様なことがわかります。

(1974年 → 2000年:26年) 38,034件 ※第一種・第二種大型店舗
(2000年 → 2012年:13年) 8,112件

まぁ1974年以降は市場も拡大していたので、新規拡大する市場を食っていいつつ、中小小売商の既存市場も合わせて食っていったと考えられます。さらに、市場が縮小に転じた後、大型店出店規制が比較的緩和されたこともあり、さらに生産性が高いモールの出店業態はより大型化しながら順当に増加してきて、この12年間の間にも全国で8000件以上の大型店が増加。そりゃ大型店同士も激しい競争環境にさらされるようになってきているのは当たり前ですよね。

小売市場における大型店舗の市場シェアは24%(1979年)→34.8%(2002年)と増加していますが、増加件数が大きい分、競争は激化していると考えられます (売り場面積規模別に捉えた小売構造の変化の分析と考察)


◯空間コストを最小化するネットモールの躍進
さらに今は着実に業態間競争で伸びているのは、ネット小売・ECです。既に8.5兆円の規模になり、百貨店合計金額6.1兆円より2兆円を超す規模になってきています。今後はよりネット経由でものを買う人達は増加していくでしょうから、そこにも食われていくモールテナントは沢山あるでしょう。

店舗開業コストがいらない、接客人件費もいらない業態を前にして、モールの競争力は相対的劣位になっています。既に家電量販店とかは直撃していますね。


◯シャッターモールの出現
米国でもロードサイドの大型店舗が廃墟化し、麻薬の売買拠点になるなどの問題もありましたが、日本においても土地を借りて安価なモールを建設してやってきたモデルが行き詰まり、既にM&Aが業界的に行われきましたので、次は統廃合で利益率担保していく形が予測され、不要なモールは一部ICに近いものは安価な配送センターに鞍替えし、それ以外は廃墟化していくことが予測されますね。









Dixie Square Mall


south hills mall poughkeepsie



既に各地で守山だけでなく、浜松とかも複数のモールが激戦を繰り広げて一部のモールは人影がないというのを見てきたことがありました。中心部だけでなく、郊外も変化を遂げていくことが容易に想像できます。

【参考】

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