昨日出ていた中心市街地政策における税制についての記事に関連して。

中心市街地活性化へ税制優遇 経産省が検討 2013/5/14 0:19

ポイントとしては、

・中心市街地内の土地の利活用促進のため、地権者向けに固定資産税を軽減
・事業者に土地の取得を促すため、不動産取得税の軽減を実施

の2点です。
前者は既存地権者に対しての減税、後者は新たに地権者になる人への減税です。

まちの利活用促進を考える上でどういう税率設定の構造が有効なのでしょうか。ちょいと考えてみましょう。

まず、用地利活用を促進することが大切であり、さらにそれに新陳代謝を求めるのであれば、既存地権者で用地利活用していない人には増税、利活用する人には減税、さらに新たに用地取得して利活用する人にも減税となるのが、誘導策としては私は合点がいきます。

◯「中心市街地活性化に向けた取組状況」平成25年3月経済産業省商務流通保安グループ

中心市街地の空店舗・未利用地が活用されない理由として、

「地権者に積極的な利活用の意思がない」
「地価と比較して賃料が高い」
「事業の収益性に対して地価に関連したコスト(取得額、固定資産税など)が高い」

というのがあげられています。ま、調査サンプル少ないし、選択肢も恣意的な感じもしますが、ま、大きく感覚とはかけ離れていない結果です。

つまりは、
「そもそも既存の地権者が利活用しようという意志がなく、けど自分の土地だから放置しているという人が多く、さらに人に貸し出すときにはベラボーな金額をいうので事業者はビジネスにならないので活用できない。」という理由です。固定資産税が高くて手元資金がないから投資をしない、ということではないのです。

逆に今の固定資産税支払ったりしても、その土地建物を保有し続けるだけ手元にお金があり、別に面倒なことやってまで貸したくないから放置している、と考えるのが自然です(というか、実態としてそんなことばかりです・・・。放置できないところは必死こいて活用したり、それも出来ない場合はお金ないのに物件手放します)。このあたりは詳しく「まちづくり:デッドライン」でも書いているとおりです。

ですので、利活用促進するための固定資産税の税率については以下の構造が自然かなと。

用地活用しない既存地権者 > 用地利活用する(自分で事業する、人に貸す)既存地権者 = 用地利活用をする新規地権者(+用地取得するくらいアグレッシブな事業者には不動産取得税減税をプラス)

といったあたりをしっかり原則にしたほうがいいかなと思っています。

ま、けど固定資産税って地方税なわけで、都市経営としての戦略を組み立てたら、条例とかでももう少し攻め込める領域ではないかなと思うところです。BIDとかも基本的に地方対応可能というのが国の回答ですしね。

何より積極的に動く人に中心部の土地を保有したり、利活用してもらわなければ活性化なんて到底無理なわけですので。

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